2006年08月22日

2WD自転車に関する雑感

 2chでこんなページが紹介されていた。>http://www5c.biglobe.ne.jp/~koseki/2wd.html

 簡単に書いてしまえば、後輪からチェーンとリンクを介して前輪も回すというものらしい。ステアリング周りの処理がポイントか。

 2WDの問題点以前に、紹介番組の間抜けさを突っ込んでおく。

  • スケートリンクでスパイクタイヤを履いた2WD車の走行実験という番組があったが。2WDのメリットというよりスパイクタイヤの効果のほうが大きい。実際に、ノーマルタイヤを履いた2WD自転車がコロコロとこけていたから。2WDのメリットを検証するなら、スパイクタイヤをはいた2WDでない同タイプの自転車も持ち込まないと意味が無い。
  • コンクリートやアスファルトをスパイクつきタイヤで走るときの安全性は確保されているのか。車のスパイクタイヤの経験から言うと、スパイクはうるさいだけでなく振動や金属板での空回り等、金属ゆえの愛称の悪い路面が多くある。
  • 「2輪駆動にしたら少ない力で安定した走行ができる事は分かっていました(長野県の民放)」というコメントがあったけど、んなわけあるか。加えた力以上の駆動力が出るはずはない。そんなもんができたら永久機関ができるわ。ぼけ!
  • 「普通の自転車と比べてこぎだしが楽です」「こぐエネルギーが1割から4割少なくて済むので・・」(両方ともテレビ大阪)。嘘付け!一方は変速なしのママチャリ。2wdは変速付きのMTBルック改造車。軽いギアに入れてればこぎだしが軽くても当たり前。比べる対象が違う。こぐエネルギーが少なくて済むはずが無い。物体を移動させるのに必要なエネルギーは決まっている。これは駆動方式とは別の話だ。むしろ、重量やフリクションロスが増えるために「楽に走る」という意味では不利なはずだ。このビデオの導入でも、自転車は坂道が大変だけど2WDなら楽になるといったイメージの画像があるが、もちろん大間違い。自転車+人間という物体を何十メートルかでも持ち上げるために必要な運動エネルギーは一緒。2WDにしたからといって、これが減る事はあり得ない。そんな事ができたら永久機関が実用化できるって。
  • 「らくらく」とかテロップに入っているのも大間違い。機械的なロスや重量が増える分しんどくなるはずだ。駆動輪が滑ることで上れないようなところは上れるようになるかもしれないが、脚力が無くて上れないところが上れるようになるものではない。開発者ではなく、取材をしたTV局(下請け)スタッフの無知が原因だろう。

 2WDを実車として販売可能レベルまで持ち込むのは、かなりの努力が必要だったろう。こういうチャレンジは大好きだが、いくつか疑問が残る。

  • 元々それほどパワフルでない人力を2輪に振り分けるメリットがどの程度あるのか?複雑な駆動系を追加することによる、重量や摩擦ロスとのバーターはどうなのか?
  • 駆動力をかけない状態で曲がることの多い自転車ではコーナーリング中のトラクションの分散によってグリップ力をコーナーリングフォースに振り返ることによるメリットはほとんど無いだろう。
  • スパイクタイヤは、自動車では20年も前に禁止された技術だが、問題は無いのか。
  • 「前後のどちらかのブレーキをかけたら一方の車輪にも制動力が働くので安定がいい」というメリットが挙げられているが、ブレーキをかけていない側の車輪はチェーンを介してホイルの回転が制限されるだけで、ブレーキのキャパシティが増えるわけではない。見る限りでは普通の自転車のブレーキを使っているが、容量は十分なんだろうか?ハードブレーキングでは両方のブレーキを使うほうがキャパシティ上有利なはずだ。
  • 自転車やバイクではスピードや路面の条件によって、前後のブレーキの強さに強弱をつけることがある。そういうケースで、強制的に他方の車輪にも制動力がかかると不安定にならないか?
  • ブレーキが良く効くという表現があったが、ブレーキの効きは最終的にはタイヤのグリップ力かブレーキのキャパシティのどちらか低いほうでしかないので、2WD化の効果はないだろう。
  • 社長は、「安全に止まること」を重要視する発言をしていたが、それをスパイクタイヤに依存しているのでは、2WD化のメリットなど無いだろう。

 懐疑的なことを書いたが、紹介ビデオのうち、娘さんが川を渡るのには正直びっくりした。こういう河原を2輪車で走るのは予想以上に難しい。石がゴロゴロと転がって駆動力が伝わりにくいからだ。こういう場所で、しかも川という抵抗が大きいところで安定して走れるというのはすばらしい。どちらかのタイヤが乗った石が転がって駆動力を失ってももう一方が補うのだろう。一輪当たりの駆動力が小さいのも石が転げにくくなるのに寄与するだろう。

 ブレーキやコーナーリングなど、2WDのメリットとは関係ないことを引き合いに出さずに、「こんな風に走りにくいところでも安定して走ることが可能」という、本来のメリットを強く押し出せばいいのにと思う。車が滑ってスタックするような坂をこれでスイスイ上がっていったら面白そうとは思うが、俺が住んでいるところ(年に2~3回朝に5~10センチ積もる程度)ではスパイクタイヤはナンセンスでしかないが・・・

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