タッチスクリーンにとってタッチの反応は命:iPhone/iPadに込められた「見えないデザイン」

 タッチパネルの UI を考えるときに面で押された時にその面のどこの点をポイントの判定に使うかはドライバのセッティングだ。重要なのは、ユーザが本当にタッチした面のどこかではなく、ユーザがタッチした時にタッチしようとした場所がタッチされたと判定することだ。指のような面積があって、タッチポイントを隠してしまうようなものでタッチするときに意識と実際のタッチの場所は僅かにずれいてるのだろうと思う。にも関わらず iOS デバイスは違和感なく反応してくれる。これは、タッチパネルと OS の判定のロジックの勝利だろう。

 まあ、同じデバイスしか触っていなければ脳が補正をかけるから慣れてしまうだろうが、自分のように iPhone と Android タブレットを使っていると、Android に戻るたびに思った場所がタッチできなくてイライラする。自分の経験では上下が数ミリずれているようだ。厳密な意味でタッチした場所の中心点は XOOM のほうが正確なのかもしれないが、ユーザとしてタッチしようとしているのは数ミリずれているのだ。

 Android のタッチ位置認識がずれるのはハードウェアメーカーの怠慢か OS とドライバのチューニング不足とばかり思っていた。特許を取られていて使えないのが原因ならタッチパネルオペレーションのフェーズが終わるまで Android の UX は iOS デバイスに追いつくことは不可能だ。

 非常に興味深いのは、特定のキーを押された時に、「次のキーとして可能性の高いキーの認識面積を動的に変化させている」ということだ。そういえば、キーボードを分割して使うときには表示されていないキーがあるという記事を読んだことがあった。ここまでやれば初めてタッチスクリーンのソフトキーボードの意味がある。

 先読み変換候補を表示するイメージで続くであろうキーを予想することは難しくない。そして、今の iOS デバイスなら、特に iPad ならこの程度の先読みは余裕なんだろう。気になるのは、「じゃ、日本語はどうしてるんやろか」ということ。日本語のローマ字入力辞書を持っているんだろうか。日本語の場合は子音の次は母音が来ることが多いので、aiueoは常に大きいのかもしれない。体感では分からないが、明らかにタイピングのストレスが少ないのは事実だ。

 この技術は Apple の特許なので、他のモバイルメーカーは使うことはできない。ということは、XOOM が ICS になったとしてもタイピングが快適になることは無いということだ・・・

iPhone/iPadに込められた「見えないデザイン」 | nikkei BPnet 〈日経BPネット〉
 アップルのインターフェースの考え方を表す最も分かりやすい例が、同社が持つ特許広報(米国特許7844914)の中にある下の図AとBだ。iPhoneやiPadのようなタッチスクリーン操作を行う機器では、操作している人が狙って触れる画面上のポイントと、実際に触れている位置とでは若干のズレがあることを、アップルは突き止めた。具体的に説明すると、操作者が画面に触れているときの指の中心点は、実は操作する人が考えている位置よりも、爪半分ほど下にあるのだという。

 この場合、アップルは画面上に表示される「見せかけ」のキーボードとは別に、実際の入力のための別のキーボードを用意しているようだ。上記特許の場合、図Cが画面上の「見せかけ」のボタンは四角いが、実際のタッチセンサー上に配列されているボタンの配列や境界線は図Dのような6角形になっている。これならば指で触れるポイントが実際に狙っている位置から下ぶれしても、ある程度のミスを防げるというわけだ。

 だが、アップルが仕掛けた工夫はこれだけではない。タッチパネルによるキー入力の信頼性を向上させるために、同社は更なる技術を導入している。それが、次に入力されそうなキーはどれかをiOSが予測して、画面上の各キーボードの大きさを自在に変える、という「可変キーボード」と呼べる技術だ。

 3つ並んだキーボードの一番上は、まだテキストフィールドに何も入力されていない状態を指す。実はタッチパネル上のQWERTYキーボードの各キーは、1から10までの重み付けがされており、この状態ではすべてのキーの優先度が「5」と、同じ重み付けになっている。

 次に、英語で「Go」と入力したとき、キーボードがどのように変化するかを示したのが、真中の図だ。ここでiOSは「Go」の次に続きそうな文字は何かを、英語の辞書などから予測する。頻繁に使われそうなのは「God」や「Good」などの単語。そこで「D」は10、「O」は8と、文字キーの重み付けがほかの文字に比べて大きくなり、(画面上では何の変化もないが)実際のタッチセンサー上の当該文字キーが周囲のキーより大きくなるのだ。逆に「Go」の次に「k」が続くことは考えにくいため、Kの文字の重み付けは必然的に小さくなり、その結果センサー上のこのキーの大きさは小さくなる。

 このように、iOSのキー入力システムでは、文字が入力されるたびに、その場その場に応じて各文字キーの大きさを変えることで、スムーズな入力を実現できるようにしているのだ。なお、第3世代iPadで、タッチパネル上のQWERTYキーボードを使ってローマ字による日本語入力を試してみると、「K」「S」「T」などの子音を入力した直後は、「A」「I」「U」などの母音の感度が確実に高まっているのが分かる。

 見たままのデザインではなく、その裏で様々な処理を施すことで体感性能を上げる。アップルはインターフェースでも、実に細かい配慮を行っているのだ。

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