神戸ラブラン結果表から分かること

 pdfで公開されたデータをExcelで加工した。こういうリストを見ると嬉しくなる習性だから。DBとして頭の悪い表なので使えるようにするまで時間がかかったが、それは別の話(データとして提供することを前提としていないので責められないとは思うが)。

条件

 データはサイトに公開されたpdfデータをExcelワークシートに変換した。

 断りがない限り、男性ハーフマラソン完走者を対象としている。ゼッケン番号は男性が2000~4000、女性が5000以降で振られたので、混ぜても意味が無くなるため。スタート位置へは男女が並んで誘導されたので男性の2000番と女性の5000番はほぼ同時にスタートしている。

 待機位置からスタートラインを通過するまでの時間をグロスタイムからネットタイムを引いて算出した。これを「スタート誤差」と呼ぶ。スタート誤差が小さいほうが前方からスタートしたと考えられる。スタートは団子状態なので同じスタート誤差の人は多いが、同じ誤差でも順位を振った。

 スタート順についてはスタート誤差順に10等分にグルーピングした。このグループを「スタート順グループ」と呼ぶ。リタイアした人はいるだろうが、グループごとの平均スタート誤差がほぼ等間隔になっていることから影響は少ないと考えられる。

 ゼッケン番号については、10等分するために、番号を24で除して小数点以下を切り捨ててグルーピングを行った。ゼッケン番号順グループにバラツキが有るのはリタイアした人やスタートしなかった人が欠番になっているため。このグループを「ゼッケン順グループ」と呼ぶ。スタートはゼッケン番号を何百番毎か(失念した)に区切って並んだので、この資料のゼッケン順と集合位置でのブロックとは誤差がある。

特記:
 グロスタイムとネットタイムとの差がゼロの人がいた。スタートゲートを通らなかったかスタートのゲートでチップのリードミスでスタート時刻が記録されていなかったために、ゴールのタイムをネットにも適用したと考えられる。公式レースなら失格だが、ファンランならええやん。実際、このレースは途中関門の計時も行っていないし、正式なタイムを競うレースとしての体裁が整っていない。

ゼッケン設定・タイム

 ゼッケンの設定(個人のゼッケンの決定)について、申告タイム順に設定されているのか疑問が持たれているので検証した。申告タイムのデータはないので、実際のタイム(ネットタイム)との相関で比較した。

表1 ゼッケン順・スタート順、ネットタイム平均

 表1:ゼッケン順グループを縦に、スタート順グループを横に、平均ネットタイム表にした。全男性の平均ネットタイム(1:56:13)より低いセルに網掛けをした。

表2:ゼッケン順・スタート順、人数
表2:ゼッケン順・スタート順、人数

 表2:セルごとの人数を表示した。ゼッケン順グループ毎に頻度が大きいセル上位3セルに網をかけ、最大値を太文字にした。

 表1と表2から、ゼッケン番号の大きなグループほどネットタイムが悪いことが分かるが、ゼッケン順グループ6と7、8以降については相関が薄い。グループ分けの誤差もあるが、中盤以降のスタート順が実際の走力の順番にはなっていないことが伺われる。

 また、下位のゼッケン順グループでもかなり前方でスタートしている人がいる。5以降のグループでもスタート順グループ3以上でスタートしている人が1割以上いる。ゼッケン順グループ7は非常にばらついていて、かなり前方でスタートした人も多い。

 スタート順グループ1(ゼッケン番号2,000番台前半)でスタート順6以降でスタートしたネットタイムの遅い人たちも異常だ。スタートが早かったのに調子が悪くてネットタイムが遅いのなら分かる。スタート順が遅いから不思議なのだ。集合場所で、「俺、ちょっと申告タイム速くしすぎたから3,500番の列に並ぼ」といった判断をしたんだろうか?

 実際、自分の周り(3,800番台)の列の周辺(グダグダでどの列に並んでいるのかよく分からない状態)に2,000番台を付けた人や4,000番台を付けた人もいた。会話を聞いていたら、「僕もこの辺でスタートしますから、一緒に行きましょう」といった声も聞こえた。その人が速い人か遅い人かは分からないが、渋滞を招く一因になっているだろう。

ゼッケン設定

表3:ゼッケン順・スタート順、スタート誤差、ネットタイム平均
表3:ゼッケン順・スタート順、スタート誤差、ネットタイム平均

 表3:ゼッケン順グループとスタート順グループでスタート誤差と平均のネットタイムを表にした。ゼッケン順グループとシスターと順グループは同じ対象者ではない(表2参照)。

 ゼッケン順グループのネットタイムの平均を見ると、ネットタイムが申告タイムとは異なるが、近い走力の人が固められたといって差し支えはないだろう。少なくともランダムに申し込み順に振られたとは考えられない。

 ゼッケン順の6と7については平均ネットタイムが逆転している(薄い網掛け)。ゼッケン番号6と7に入っている人たちがどのような目標タイムを書いたか確認のしようがないが、切りの良い2時間と書いた人なのではないだろうか。ハーフマラソンのとりあえずの目標タイムとして2時間というのは目標にしやすい数字だろ。2時間を切れる自信がある人は「とりあえず2時間にしとくか」となり、2時間で走ったことがない人でも「2時間切りを目標に頑張ろう」となりやすいはずだ。

 ゼッケン順グループの8以降はスタート誤差が小さく9については10より遅い。集合場所からスタート地点に移動する際の誘導が悪くほとんどひとかたまりのようになってしまったと考えられる。その影響か、スタート順グループ8以降の平均ネットタイムの差は小さい。

順位変動

 ゼッケン番号が申告タイム順に振られたにも関わらず、ずっと抜かなければならなかった印象を持った理由を考えた。自分の場合は申告タイム(2時間10分)よりネットタイムが速かったので、抜かなければならなかったのは仕方がないが、体感的にそれ以上の人数を抜かなければならなかった。男女を混ぜてスタート誤差とゴールタイムから見たら、自分より前にスタートして後にゴールした人が919人、自分よりスタートが後でゴールが先だったのは93名。延々と隙間を探さなければならなかった。

図1:ネットタイムごとの人数(男+、女☓)
図1:ネットタイム(分)ごとの人数(男+、女☓)

 図1:ネットタイムごと(1分刻み)の人数を男女別に散布図にした。縦軸が人数、横軸がネットタイム。男性の平均は1時間56分13秒で女性の平均は2時間9分53秒だ。

図2:スタート誤差(10秒刻み)ごとの人数(男女別)
図2:スタート誤差(10秒刻み)ごとの人数(男女別)

 図2:スタート誤差毎(10秒刻み)の人数を男女別に散布図にした。縦軸が人数、横軸がスタート誤差。1分20秒付近で急に女性が減り男性が増えているが、誘導途中までほぼ男女同数を流していて、途中、一列女性を止めたのだろう。

 このスタート位置の設定が渋滞の一因だろう。平均タイム差が10分以上もある集団を同じスタート位置に並べたのだから女性はほぼずっと抜かれながら走る事になったはずだ。

目標タイム設定

 ゼッケン順グループの6と7で逆転現象が起きている。このグループ分けと整列の列が一致していないために、このゼッケン順グループ6と7の集団は一塊でスタート地点に誘導された可能性はある。また、列についても番号順に並ぶのではなく、集合場所についた順番に並んだので、ゼッケン順グループがスタート順ではない。更に、集合場所の後方は列が乱れていて、指定されたゼッケン番号の列に並んでいない可能性もある。

 全体のネットタイムから見て1時間50分~2時間くらいまでの人数が一番多いことが分かる。そして、そこに該当するのはゼッケン順グループ6と7だ。目標タイムをこの範囲で申請した人の人数がかなり多かったのではないだろうか。ハーフマラソンの一応の区切りとして2時間というのは誰でも思い付きやすい。それ以上のタイムを持っている人は「確実に狙える2時間」と書くし、2時間で走ったことのない人でも「目標は2時間」として設定することはありそうだ。そして、それらの人が6と7になるような番号(ゼッケン番号で3000~3500)に振り分けられたのだろう。サブ2の人と目標2時間の人らが狭い道に集中するのだから渋滞は発生するだろう。

 後、ゼッケン順グループとスタート順グループが一致していない。一番ばらついているのはゼッケン順グループ7だが、他のグループでもゼッケン番号順による誘導を無視したような位置からスタートしている人がかなりいる。待機場所での整列の誘導が悪く、列もばらついてて、自分がどこに並ばなければならないのか分かり難かった(自分はゼッケン順グループでは8だがスタート順グループでは9だった) 。自分の周囲にも2,000番台の人や4,000番台の人がいた。また、スタート位置への移動が始まってから集合位置に来た人はゼッケン番号とは関係なく列の後ろに並んだので、小さい番号で後からスタートした人は遅れてきた人という可能性が高い。

 説明できないのは大きなゼッケン番号なのにスタート順の早い人だ。1グループくらいなら、このグループ分けの誤差とか現場の列のバラツキと考えられるが3,000番台後半なのにけっこう前方からスタートしている人は混乱に乗じて上位でスタートしたとしか考えられない。

結論

 神戸ラブランのゼッケンは申告タイム順に振られた。が、男女を申告タイムを無視して並べるという運営ミスにより無駄な渋滞を招いた。さらに、集合場所とスタート地点が異なることと、集合場所でのグダグダのせいでゼッケン順が守られなかったことも渋滞に拍車をかけたと考えられる。申告タイム・ネットタイムが集中することは防ぎようがない。ここを円滑に流すには太い道を使うしか無いだろう。

 ネットタイム2時間前後が予想される場合、申告タイムは少しサバを読んだほうがいい。2時間と書いてしまうと、2時間を目標に書いたが、2時間では走れない集団にペースを乱される可能性が高い。

 後、並んで走っている人がいて、流れを悪くしていた。車道一車線分の幅しか無いコースで並走されると抜こうとする人が横に動くしかなくなり、その後ろから来る人と交錯する。何回か足を踏みそうになったり踏まれそうになったりした。今回の設定だと、申告タイムが2時間より遅い女性が男性の一番人数が多いであろう1時間50分から2時間で申告している集団の前でスタートしているから自分のペースではしれなかったランナーが多かったはずだ。

おまけ

 ついでに、名前について集計してみた。

完走者名
完走者名

 開催地が神戸だからか、日本全国では上位となる鈴木や佐藤が上位に入っていない。男女同名も並べてみた。この表にはないが、ざっと見た範囲ではキラキラネーム(DQNネーム)は見当たらなかった。平均年齢が高く年齢が散らばっているせいで、特定の年齢層で流行った名前に集中はしていない。女性に、古風なというか昭和風なというか、「子」が付く名前が上位に入っているのは意外だった。

 初めて参加する大会は、昨年度の結果を分析しておけば対策が打てるかもしれない。といっても、集合位置に早く着くとか申告タイムを誰でもが選びそうな切りの良い数字にしないといったことくらいしか思いつかないが(集合位置で指定を無視して前の列に並ぶとかは絶対にすんな)。

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