電子書籍調査定点観測をウォッチする夜

 興味深い調査だ。調査自体は安直なネットアンケートでしかないが(金を払えば見せてくれるのかもしれないが)、同じ調査項目を定期的に行っていることは評価できる。

 「電子書籍経験者」と「電子書籍非経験者の内読みたい意向のある人」を「読みたい」としているのは乱暴だ。これでは「電子書籍を読んだことはあるが今後読みたいとは思わない」人を「読みたい」にカウントしてしまう。「今後電子書籍を読みたい」と感じている人はもっと少ないかもしれない。

 調査方法に問題があるのかサンプリングに問題があるのかわからないが「電子書籍を読んだことがある」という人数が誤差と思えないくらい減っているのは謎。「読んだことがある」という人は一度でも読んだらそのまま一生「読んだことがある」はずなので、基本的に減るはずがない性格の設問だ。一回目の調査がおかしかったのかもしれない。

 後、基本的な調査結果の記事として誤差を示さないのは問題がある。また、サンプル数が少ない電子書籍端末保有者の調査は母数が20程度しかないので小数点以下のパーセントで表記するのはほとんど意味が無い。一人の違いで5%動くようなものはパーセント表記すべきではない。数字にすればもっとはっきり分かるはずだ。一向に増えない利用者と利用希望者―定期調査「電子書籍」(9)にあるグラフと印象を比較して欲しい。

電子書籍端末調査結果

 注意すべきはこの調査がインターネットのアンケートサイトで行われているということだ。答えている母集団は少なくともインターネットにアクセスしてアンケートサイトに答えるだけのリテラシーは持っているということだ。どちらかというと電子書籍に馴染みやすい層だと思われる。にも関わらずこの結果ということは、日本で電子書籍が普及するのは相当先のことになりそうだ。

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