Microsoft、Surface RT 在庫の減損処理に思う

img5 売れていない製品在庫を売るために行なう値引や価格改定を「たたき売り」というのは間違いではないだろう。日本マイクロソフトの社長がこれまで出してきたメッセージがすべて嘘だということがこれではっきりしてスッキリした。

 この製品が発表された時から、「Office が動くことしかセールスポイントのない高価なタブレットを欲しがる人がいるのか」と興味を持っていた(下の Surface タグで過去のエントリを読んでもらえば分かる)。3月くらいにはほぼ結論は出たような気がしていたが、日本マイクロソフトの関係者や御用マスコミの記事は頑なに認めなかった。日本での期間限定1万円引きキャンペーン(期間終了後その価格に固定されたが)やアメリカの価格改定はほぼ失敗だったことを認めたようなものだったが、その発表の際にまで、「iPad の値上げに合わせた攻めの価格改定」とか言っていた。「どんだけ負け惜しみキツイねん」と冷笑た。

 この報道ではっきりした。会計上も不良在庫として認定ということだ。そして、それを処分するための値引きをするために900億円もの減損をしなければならなくなった。会計人に「この在庫、この金額の価値はないですよね?」と言われたことだろう・・・

 一台あたり 10,000 の評価替とした場合に 90,000,000,000 かかるということは 9,000,000 台の在庫があるということ?アメリカでは $150 の価格下落だったのでこれよりは少ないし他にも費用を見積もったかもしれないが、少なく見積もっても 500 万台以上の売れ残りがあるのではないだろうか。Microsoft は昨年秋の時点で年内に 500 万台といった数字を出していたような記憶がある。その時点で完成していた製品が 500 万台近くあったとして、売れないことが判明して生産をストップするまでの惰性(契約上、引き取らなければならない台数)を加えれば、7月時点で500万台以上の在庫が残っていても不思議はない。計算が大雑把なので大きな差があるかもしれないが、そう遠くないのではないだろうか。どんなに誤差があっても在庫が100万台以下ということはないだろう。

 900億円もの減損を出しても最終利益が赤字にならないのが Microsoft のすごいところだ(自分が勤めているところなら潰れる前に、それだけの在庫を1年も経たないうちに作ることさえできない)。たったひとつの製品の失敗でこれだけの痛手を負うのは同社でも初めてではないだろうか。

 まあ、作ったものは置いておくわけにもいかないし捨てるのにも費用がかかる。減損も出してしまっているから、なりふり構わないたたき売りをしてでも在庫をなくさないといけない。限られた流通チャネルだけではなく、kakaku.com やディスカウントショップに出回るのも時間の問題かもしれない。そうなれば、利益はともかく台数的には「その他」から抜け出せるかもしれない・・・

 最後に書くが、下の記事にもあるように、Surface RT という端末自体が駄目とは思っていない。コンセプトが謝っていたのだ。これは、設計や製造をした人間の責任ではない。市場を見誤り誤った製品コンセプトでプロジェクトを進めた人間の責任だ。

Microsoft、誰もSurface RTを欲しがっていないことをようやく認める | TechCrunch Japan

Windows RTは失敗作だ。われわれは最初からそう言っていた。本誌だけではなかった。Windows RT、より具体的には生後9ヵ月のMicrosoft Surface RTに好意的なレビューを探すのは非常に困難だ。そして今Microsoftは、自社の最新収支報告で、ついにわれわれが正しかったことを公に認めた。

同社は前四半期に9億ドルという巨額の減損処理を、売り残ったSurface RTのために行った。もっと多くを物語るのは、Microsoftがこの損失を公表したという事実だ。それほど膨大だった。同社は投資家に向けて、なぜウォール街の予測を達成できなかったかを説明する必要があった。

悲しいかな、悪いのはSurface RTのハードウェアではない。むしろタブレットそのものは美しいマシンだ。スマートで堅牢でまさしく素晴らしい。これを手に取って感心せずにはいられない。Surface RTのデザイナーとエンジニアたちは自分たちの作品に誇りを持つべきだ。彼らの責任ではない。

Windows RTは消費者向け製品として存在すべきではなかった。それは、iPadや市場に溢れる数多のAndroidタブレットに対する反射的行動の産物だ。それは、Microsoftが立ち去るるべきだった戦場に放った一撃だった。Intelが、ARMチップの長所の大部分を迅速に同社のx86ラインに導入しているのに対し、Microsoftは、Windows最大の利点である従来アプリとの互換性を捨てた製品を作るのを我慢できなかった。Surface RTは、この失敗が約束されたエコシステムの不幸な部分だった。

Surface製品群はMicrosoftにとって大きなリスク要因だった。同社にとってオールインワンPCは全く初めての試みだ。そしてある意味で、それは成功した。Surface RTおよびProは、Windows 8タブレットに多くの注目を集めた ― HP、Dell、あるいはSamsungがやるよにもずっと多く。この強力な製品ラインは、多くの消費者向けエレクトロニクス企業に対してメッセージを放った。なにしろMicrosoft ― 歴史的にソフトウェア第一の集団 ― が自身で第一級ハードウェアの製作に取り組んだのだから。

Surface ProとRTがなければ、Windows 8タブレットの世界は陳腐で生気のないものになっていただろう ― Windows 8ノートPCのように。

あらゆる兆候が近々発表される新しいSurface製品ラインを指している。そして今日のニュースにもかかわらず、Microsoftが第2世代のSurface RTをさらに大きく価格を下げて発売する可能性は十分にある。結局Microsoftは、たとえ誰も買いたいと思わない製品であっても、やりたいことは何でもやる会社なのである。

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